実態としては「紙切れ」に過ぎないものを、「おカネ」として崇め奉っているここに資本主義経済における究極の矛盾が存在しています。 哲学論争をしているようで恐縮なのですが、「なぜ、紙切れがおカネとして通用しているのか」という理由を突き詰めると、「他の人がおカネとして受け取ってくれるから」ということに気付きます。

それでは「なぜ、他の人はおカネとして受け取ってくれるのか」という点を突き詰めると、「それ以外の他の人がおカネとして受け取ってくれるから」という論理にたどり着きます。 先ほども指摘したように、このことを経済学ではコ般受容性」-誰もが受け取ってくれることが受け取ってくれるのか」という理由を突き詰めると、「それは、誰もが受け取ってくれるから」という循環論理に陥ってしまいます。
つまり「おカネはおカネだから、おカネなのだ」ということなのです。 おカネに信用がある間は、誰もがおカネに信頼を置いてくれるのです。
とどのつまり、おカネの存在意義は、一般受容性に関する信頼にあるわけです。 その信頼がある間、おカネは極めて貴重なものになります。
紙切れがおカネに変貌するという究極のマジックは、現代の錬金術だと言ってもよいでしょう。 人類の歴史を振り返ると、この錬金術の魅力に魅せられた為政者たちが、何度も何度も輪転機を回してきました。
紙幣のおカネを大量に発行して、浪費の尻拭いをしたり、財政赤字を埋めようと画策してきました。 その場合、結果的には、市中に大量のおカネが出回るようになって、紙幣の信頼が失墜し、紙幣の価値は暴落します。
紙幣がおカネではなく、紙切れに変貌してしまいますから、物価は高騰し、社会に大混乱をもたらします。 おカネの価値を基盤としている資本主義経済は、構造的にインフレを産み出すインセンティブをビルトインしています。
だからこそ、わたしたちは、中長期的には、インフレのリスクを常に考えておかなければならないのです。 そういう中で、「しょせん、おカネの信用は脆弱なものだ」と気付いてしまった人には、紙切れのおカネに頼るのではなく、「経済の実体に何らかの根っこを持っている資産を保有しておきたい」というニーズが出てきます。
紙切れにすぎないおカネを金庫で保管しているのではなく、いざというときに協力してくれる人たちや、何か作りたいと思ったときに使える工場や、リーダーの指揮の下に迅速かつ正確に動いてくれる組織などを支配下に置いておきたいという考え方に至るはずです。

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